1平成最後の定例会に際して
(1)今上陛下に対して県民を代表して感謝を表明する考えについて
【知事答弁】
天皇皇后両陛下におかれましては、昨年3月に沖縄県への行幸啓を賜り、天皇陛下が皇太子として来沖された際、魂魄の塔を訪れたということから心に及ぶものがあるということで、平和を祈る琉歌を詠まれるとともに、「沖縄の人々が耐え続けた犠牲に心を寄せていく」とおっしゃられるなど、沖縄のたどった苦難の歴史に深く思いを寄せていただきました。沖縄訪問が11回にもわたり、常に沖縄のことを気にかけていただいているお気持ちに対し、天皇陛下御在位三十年記念式典など、機会あるごとに、私から県民を代表して感謝の思いをお届けできればというふうに考えている。これからも機会があれば感謝の思いはしっかりとつないでいきたいというふうに思っている。
2知事の政治姿勢について
(1)雑誌「通販生活」インタビューにおける発言について
ア「沖縄県と政府とのつき合いにも当てはまるでしょう。後ろ手にナイフを持ちながら、もう片方の手で握手云々との発言の真意について
【知事答弁】
後ろ手にナイフを持ちながら、もう片方の手で握手を求めても対話は成り立たない。両手を差し出して握手をする。誰と対話をするときでも、そこから始めたいと私は思っている。政府とのつき合い方は優しい心を持って、両手を差し出して握手をし対話を始めることが重要であると私の考えを述べたことがインタビューとして記事になっているということを御理解をいただきたい。
イ同じく「米軍基地は沖縄の経済と民主主義をフリーズ(凍結)させている存在だ」との発言の真意について
【知事答弁】
沖縄の米軍基地は、人口が集中する中南部都市圏において、市街地を分断する形で存在している。計画的な都市づくりや産業基盤の整備などの経済活動の制約となっている一方、那覇新都心地区や桑江・北前地区など基地返還後の跡地利用による経済効果は、かつての基地経済の効果を大きく上回っている。戦後73年を経た現在もなお、沖縄に米軍基地が集中し、騒音や事件・事故の発生等、県民は過重な基地負担を強いられ続けている。さらに、辺野古新基地建設に反対し、普天間飛行場の県外移設を求めるという県民の民意を顧みず、政府は埋立工事を強行している。そのようなことから、民主主義と経済をフリーズさせている、米軍基地はそういう存在に見られているということを話したもので、県外・国外に移設をしてくださいということをインタビューに答えたものと御理解ください。
(2)今般の県民投票は直接民主制ではなく間接民主制度の枠内での投票であり、結果における法的拘束力は有しないことへの認識について
【知事公室長答弁】
今回の県民投票は、間接民主制の欠陥を補完する直接請求制度により、県民から制定請求され、法律に基づく手続を経て行われたものである。県民投票は、投票結果に法的拘束力はないが、これまでに実施された他の自治体での住民投票においても、その後の政策決定に大きな影響を与えてきたものと認識している。
3沖縄振興策について
(1)次期沖縄振興計画へ向け、これまでの振興策の「成果と課題」の具体的な理論的根拠の整理について
【企画部長答弁】
沖縄振興施策の展開により、社会資本の整備や、観光、情報通信関連産業の成長など、着実に発展を続け、県内総生産は復帰直後の4592億円から、平成27年度は4兆1416億円と約9倍に増加。1人当たり県民所得は昭和47年度の約44万円から平成27年度の約217万円と約5倍伸び、平成30年の完全失業率は3.4%、有効求人倍率は1.17倍となり、復帰以降最高となっている。一方、一層の県民所得の向上、離島振興、子供の貧困解消、基地負担の軽減、地位協定の抜本的見直しなどの重要課題も残されており、残り3年となる沖縄21世紀ビジョン基本計画の総仕上げに向け、各種施策に全力で取り組むこととしている。
(2)アジアの成長力を県経済へ取り込むビジョンにおいて、台湾との経済連携を構築していく方向性について
【商工労働部長答弁】
台湾と製造・物流・情報通信関連分野等において、双方の経済団体等による連携構築を促進している。県と台湾貿易センターとの貿易、MICE分野における協力、県と基隆港とのクルーズ振興に向けた連携、沖縄ITイノベーション戦略センターと台湾のIT関連団体との連携等、さまざまな分野において協力覚書が締結されている。沖縄と台湾の双方の強みを生かし連携を深めることで、国内・海外市場へ展開するなど、アジアの活力を取り込み、沖縄の発展を加速させていきたい。
(3)先島地域(八重山・宮古)における、観光振興の潜在力を引き出すための方向性について(インフラ整備の拡充を含めた)
【文化観光スポーツ部長答弁】
平成27年度に離島訪問客のニーズに合致した観光コンテンツや情報を発信するため「離島観光マーケティング戦略事業」を実施し、各離島の誘客戦略の方向性を示すビジョンを設定した。八重山圏域については、希少な動植物や島ごとに異なる多様な文化を生かし、宮古圏域については、地球環境に配慮したエコアイランドとしての特性やホスピタリティーを生かすこととしている。
今後とも空港や港湾などのインフラの整備促進に努めるとともに、離島の魅力を引き出す施策に取り組んでいく。
(4)観光目的税(宿泊税)の離島住民への配慮について
【文化観光スポーツ部長答弁】
観光目的税の導入には、去る1月の観光目的税制度の導入施行に関する検討委員会の分科会において、修学旅行に係る宿泊行為を課税免除とすること、使途については、持続可能な観光地づくり、利便性・満足度の向上、受け入れ体制の充実強化、県民理解の促進のための取り組みに充てるという基本的な考え方が取りまとめられ、3月に予定されている同委員会の提言を踏まえ、観光目的税制度の詳細を定めることとしており、離島住民への配慮についても具体的な使途事業選定の際に検討したい。
4防災行政について
(1)南西諸島域海底地震観測網早期構築について
【知事公室長答弁】
国内各地に設置されている海底ケーブル式地震・津波観測システムについて、国主導により整備されている。文部科学省は南海トラフ地震に備え、宮崎県沖から四国沖にかけて南海トラフ海底地震津波観測網を平成31年度に着工する予定と聞いている。南西諸島域において、海底ケーブル式地震・津波観測システムは設置されていないことから、九州知事会等を通じ、事業主体となる国へ早期整備について働きかけていきたい。
(2)発災時観光避難民に対応する防災備蓄の早期対応について
【文化観光スポーツ部長答弁】
平成26年度、観光危機管理の基本的な対応を明らかにした沖縄県観光危機管理基本計画、翌年度に基本計画を具体化した同実行計画を策定した。同計画に基づき、国、市町村、観光関連事業者等と連携して、観光客にも配慮した必要な量の備蓄または観光危機時に迅速に調達できる体制の整備を促進する必要があることから、防災担当部局や市町村、観光事業者等に対し、必要な量の備蓄が行えるよう働きかけていきたい。
(3)発災時における自衛隊、在沖米軍との連携構築について
【知事公室長答弁】
県と自衛隊との連携について、沖縄県地域防災計画に定める「自衛隊災害派遣要請計画」等に基づき、1、天災地変、その他の災害に際して、人命または財産の保護のため、必要があると認められる場合、2、災害に際し、被害がまさに発生しようとしている場合、3、市町村からの災害派遣要請がある場合に、知事は自衛隊の災害派遣を要請してきた。在沖米軍との連携について、沖縄県地域防災計画に定める米軍との相互応援計画等に基づき、毎年の防災訓練等を通じ被害想定を共有し、適切な連携方法を検証している。
(4)県消防防災ヘリコプターの先島地域、大東島地域への対応及び各自治体からの消防隊員派遣人件費の市町村の案分について
【知事公室長答弁】
県消防防災ヘリについて、活動範囲を全県域としており、災害時に、先島、大東地域での活動も視野に入れている。消防隊員派遣人件費について、41市町村での案分による負担を考えており、例として沖縄県消防指令センターの人件費案分方法を紹介するとともに、先島、大東地域において、自衛隊との連携を想定していることから、負担軽減の必要性についても説明してきており、具体的な案分方法について41市町村による整備推進の合意形成後、市町村間の協議によることとなるが、協議が円滑に進むよう、情報提供を行うなど積極的に関与していく。
(5)発災時における離島医療態勢について
【保険医療部長答弁】
保健医療部長を本部長とする県災害医療本部の指揮のもと、保健所長を地域医療本部長とする地域災害医療本部を設置し、医療機関及び避難所等での医療ニーズの把握、市町村との連絡調整などの業務を行っていくこととしている。離島において傷病者が発生した場合には、県内及び県外の災害派遣医療チームの派遣、ドクターヘリや自衛隊等による災害拠点病院への急患搬送などの医療救護活動を実施することとしている。
5児童虐待について
(1)県と県警との情報共有協定の現状と今後の課題について
【子ども生活福祉部長答弁】
平成19年に福祉保健部と警察本部生活安全部との間で、児童虐待事案に対して緊密に連携し対応を図ることを目的とした協定書を締結した。本協定に基づき、泣き声通報で所在の特定ができないケースや顔面、頭部への身体的虐待等の事案について、児童相談所から県警察へ情報提供を行っている。今般の児童虐待死亡事案を受け、全国的に児童相談所と警察との間の情報共有のあり方が議論され、国において、双方で共有すべき事案が明確化されたことから、協定書の見直しについて県警察と協議を進めている。
(2)加害者への厳格な刑事責任追及における県警の取り組みについて
【警察本部長答弁】
平成30年の児童虐待事案の事件検挙は7件7人、対応別で身体的虐待5件、性的虐待2件、罪種別、傷害罪5件、児童買春・児童ポルノ禁止法違反1件、準強制性交等罪1件となっている。
児童虐待は早期発見が困難で、県警察としては児童相談所、学校、病院等の関係機関と情報共有を図るとともに、さまざまな警察活動を通じて情報収集を行い、児童虐待事案の早期発見に努めている。その上で、児童虐待事案を認知した場合、児童の安全の直接確認、児童相談所への通告、一時保護の働きかけなどを行うとともに、児童相談所の対応状況も踏まえつつ、積極的に事件化を図ることとしており、特に児童の生命、身体の安全が脅かされているような事案を認知した場合は、本部捜査員を警察署に派遣するなどして、捜査態勢を強化し、あらゆる法令の適用を視野に法と証拠に基づき、加害者の刑事責任追及を厳正かつ適切に行うこととしている。引き続き児童の安全確保を最優先として取り組んでいく。
6八重山地区における畜産振興について
(1)上質ブランド肥育牛の増産、養豚増産態勢への取り組みについて
【農林水産部長答弁】
魅力ある地域ブランド牛の促進を図るため、肉用牛肥育素牛導入支援事業により、県種雄牛を利用した肥育素牛を導入する農家に支援を実施している。畜産担い手育成総合整備事業により、肥育牛舎の建設を支援するなど、生産基盤の強化による肥育牛の増産にも取り組んでいる。養豚について、種豚改良推進事業等により、県家畜改良センターからの種豚等を八重山地域の農家へ供給し、養豚の増産を支援している。引き続き、生産基盤の強化を図るとともに、肥育牛及び養豚の生産振興に努めていく。
(2)石垣市食肉センターのHACCP準拠施設整備への取り組みについて
【農林水産部長答弁】
八重山食肉センターは、離島地域における食肉生産の安定と衛生的な食肉処理を行うため、沖縄食肉価格安定等特別対策事業により、事業費25億円をかけHACCP対応可能な施設として平成26年度に完成・稼働している。同センターについて、HACCP認証取得に向け取り組んでいる。引き続き、関係機関と連携しHACCPなど施設の衛生管理の高度化に向け、必要な支援を行っていく。
(3)HACCPで処理した食肉の海外輸出への取り組みについて
【農林水産部長答弁】
食肉を海外に輸出する場合、二国間で取り決めた衛生要件を満たし、必要に応じて相手国の査察や施設認証を受ける必要がある。国際基準であるHACCPの取得は、相手国からの施設認証に有利となり、海外輸出の促進につながると考えている。八重山食肉センターにおいては、HACCP認証の取得に向けた取り組みを行っているところで、沖縄県畜産物輸出促進協議会における県産畜産物の海外輸出促進への取り組みについても支援を行っており、引き続き、関係機関と連携し認証取得や海外輸出促進を支援していく。
(4)豚コレラ、口蹄疫等家畜伝染病の徹底した防疫について
【農林水産部長答弁】
コレラや口蹄疫など、家畜伝染病の防疫対策は、ウイルス感染経路の遮断と農場での侵入防止が重要と考えている。動物検疫所、市町村、JAなどの関係機関や畜産農家と連携を密にし、1、空港、港の水際防疫の徹底、2、農場へ立ち入り、衛生管理の点検、指導、3、地域単位での防疫実働演習の実施、4、防疫資材の備蓄などを実施している。家畜保健衛生所では、畜産農家に対し消毒の徹底と家畜の健康観察、異状発見時の早期通報等、指導を強化している。引き続き、家畜伝染病の侵入及び蔓延防止対策に万全を尽くしていく。
(5)獣医師増員への具体的な取り組みについて
【農林水産部長答弁】
獣医療法に基づき国が策定した基本方針に即し、県の獣医療体制整備計画を策定し、平成32年度までに151名の産業動物獣医師の確保を目標にしている。県内の産業動物獣医師数は130名、安定的な獣医師確保のため、1、産業動物獣医師確保対策事業による獣医修学資金の給付、2、獣医関係大学訪問による県への誘導、3、インターンシップの積極的な受け入れなどを実施している。引き続き、関係機関と連携し獣医師の確保に取り組んでいく。
7八重山地区における水産振興について
(1)高度衛生管理型荷さばき場の整備の必要性について
【農林水産部長答弁】
沖縄21世紀ビジョン基本計画に基づき、離島の特色を生かした産業振興と、新たな展開を図るための水産業の基盤整備に取り組んでいる。平成29年5月八重山漁業協同組合が中心となり策定した、浜の活力再生プランによると31年度以降に高度衛生管理型荷さばき施設の整備に向け、検討を行うとされている。今後とも、本プランに基づく施設整備の要望を踏まえ、支援について検討していく。
(2)陸上における養殖施設の整備拡充の必要性について
【農林水産部長答弁】
八重山地区で、陸上の種苗供給施設において、モズクの種つけやヤイトハタの中間育成を行っており、平成30年モズク生産量約2300トン、ヤイトハタ生産量約30トン。陸上養殖施設の整備について、地元の要望を踏まえ検討していく。
8離島児童生徒の大会派遣等に係る補助拡大(楽器等備品搬送費)について
【教育長答弁】
これまで中高校生に対し、離島から本島での県大会や九州大会及び全国大会に参加する生徒に派遣費を助成している。平成31年度、離島から本島への派遣費を増額し、助成できるよう予算案計上している。大会参加に伴う楽器等備品搬送費が保護者の負担となっていることを承知している。これらの経費を含め派遣費の支援のあり方について、さまざまな観点から研究していきたい。
9石垣島で計画されているゴルフ場を含むリゾート施設建設への県の対応について
【文化観光スポーツ部長答弁】
石垣島でゴルフ場等の観光施設の充実を図ることは、年間を通した安定的な観光誘客につながるとともに、リピーターの獲得や観光消費額の向上にも貢献するものと考えている。世界水準の観光・リゾート地の形成を図るため、観光地形成促進地域制度等を活用し、石垣島を含む県内全域を対象とし、観光施設等の民間投資誘致に取り組んでいる。地元の意向や開発に係る手続の状況等を踏まえ、事業者に対し税制優遇制度の活用を促すこと等により、観光施設の充実を図っていきたい。
10我が党の代表質問との関連について
【知事公室長答弁】
自衛隊は、多くの離島を抱える本県において、緊急患者空輸、不発弾処理や災害救助など、県民の生命財産を守るために大きく貢献しているものと考えている。一方、自衛隊の島嶼配備について、我が国の安全保障や地域の振興、住民生活への影響をめぐってさまざまな意見があるものと承知している。
住民合意もなく、地域に分断を持ち込むような自衛隊強行配備は認められないものと考えており、政府に対して、地元の理解と協力が得られるよう、より一層丁寧に説明を行うとともに、配備スケジュールありきで物事を進めることがないよう求めていきたい。
【企画部長答弁】
今年度から、沖縄振興のための各種施策や特別措置等についての検証作業に着手している。沖縄振興特別措置法の延長に向けて、次年度以降、これらの検証作業や新沖縄発展戦略等を踏まえ、新たな沖縄振興のあり方等を総合的に検討しながら、国との調整等を進めていきたい。