沖縄県議会報告(令和3年 第8回定例会)一般質問 要旨

県議会一般質問報告 沖縄県議会議員 大浜一郎
沖縄県議会定例会(令和3年度第8回定例会 9月27日)一般質問
1.令和4年度沖縄振興予算概算要求について
2.経済再開への県の姿勢とロードマップについて
3.市町村と県のワクチン接種者数差異について
4.緊急事態宣言下の柔軟な措置区域対応について
5.尖閣諸島の課題について
6.新たな離島振興計画骨子案について
7.石垣空港線事業について
8.県立八重山病院の分娩介助料値上げの対処策について
9.石垣竹富間貨物船新造費用の一部負担について
10.久部良港の係留施設整備について
11.石垣市のゴルフ場リゾート施設の進捗について
12.離島学生の入寮再開における方針変更について

主に上記内容で一般質問及び関連質疑を行いました。以下、当局とのやり取り要旨を抜粋し、ご報告いたします。

1. 令和4年度沖縄振興予算概算要求について
○玉城知事
内閣府の概算要求においては、子供の貧困対策、離島活性化推進事業費等が増額要求され、産業競争力強化等の経費も新たに盛り込まれたが、一括交付金については、予算総額が三千億円台に届かなかったことは残念。今後の予算編成において総額三千億円台の沖縄振興予算を維持していただき、一括交付金については更なる増額が図られるように要望していきたい。
○大浜 一郎(再質問)
この予算概算要求について、知事は切迫感が非常に足りないのではないか。最終的に予算獲得については、知事の政治的な力量であり責任だ。沖縄振興を含めた沖縄の諸問題を、対話を通じて解決していくと語られているが、対話の熟度が増したと感じている県民はどれだけいるのか。国との信頼の醸成が無ければ、計画を進めることはできない。知事は、知事公約の達成度は1.7%だと自らが語ったが、知事の成果とされる那覇空港第二滑走路は、仲井眞県政と安倍政権の信頼のたまもの。この度の内閣府の減額予算は、これまでの玉城知事と国の結果の対話だ。知事は年末の閣僚決定まで、どのような政治対話によって課題を克服していくのか。
○玉城知事
様々なチャンネルを通して、予算が獲得できるような状況を整えられるよう部局からも調整を進めている。新しい内閣が誕生することも見据えて我々の思いを強く要求していく。
○大浜 一郎(再質問)
私が知り得た限りでは、沖縄の広範囲な政策にとって重要な、沖縄政策協議会が開催されていない。この協議会は機能しているか。
〇宮城企画部長
沖縄政策協議会は平成22年、23年度に開催されている。たしかこの近年5年以内は開催されていない状況だ。ただし、新たな沖縄振興の必要性について、昨年の8月来、関係閣僚・関係要路・国の沖縄審議会等において、振興の必要性について機会を捉えて要請を行ってきた。
○大浜 一郎(再質問)
知事はこの会議の重要性をどのように認識されているか。
〇宮城企画部長
沖縄政策協議会開かずとも違うルートで沖縄振興の必要性等の説明をしていく必要がある。
○大浜 一郎(再質問)
今、政策協議会が行われなくてもできる、そういう認識でこの協議会を捉えているのか。副知事、政策協議会の経験があると思うがどうか。これは大変な発言だ。
〇宮城企画部長
沖縄政策協議会は国が設置する協議会。国の方で設置が検討されるが、県としては政策協議会が開催されない場合にあっても、沖縄振興の必要性等をこれまでどおり関係各位に説明していく。
○大浜 一郎(再質問)
機能しているか機能していないかではなく、機能させないといけない。復帰50周年を見据えた極めて重要な時代に開かれていない。仲井眞知事が最後で全然やっていないではないか。逆にこっちから開いてくれと要求するアクションも必要ではなかったのか。
〇玉城知事
沖縄振興・沖縄の課題に対する取り組みについて、政府を挙げて取り組んでいただきたいという思いは共通する。状況に鑑みて政策協議会の開催等についても要望していく。

2. 経済再開への県の姿勢とロードマップについて
○嘉数商工労働部長
県では、自粛要請の徹底等により、新規感染者数を抑制することで、緊急事態措置等の制限を段階的に解除し、経済活動再開に向けた取り組みの展開を検討している。今後はワクチン接種を推進し、経済対策基本方針の出口戦略に基づいた需要喚起策や業態転換を促す施策等を講じていく。
○大浜 一郎(再質問)
経済再生への切り札はワクチン接種。知事の決意を伺いたい。
〇大城保健部長
ワクチン接種は正に切り札で議員がおっしゃる通りだ。県もワクチン接種を加速する方針を定め、10月末までに沖縄県全人口の70%が1回目を摂取できるよう引き続き取り組んでいく。
○大浜 一郎(再質問)
自民党沖縄県連会派に政調部会があり、先日東京へ出向いて、沖縄振興協議会・内閣府・関係省庁へ、沖縄の観光業界を含めた緊急の財源支援を求めて協議をしてきた。しかし、これまで県側から財政支援の要請もなく切迫感が感じられない、と異口同音に厳しい意見があった。知事は全国知事会の場で予算要求をすると強調しているが、これが財源確保の緊急性を高めるとは思えない。先般、沖縄県議会は全会一致で県民のための観光再興条例を可決した。条例に基づいた早急な経営支援策の財源確保を要望する声が日増しに高まっている。財源確保を含めた緊急支援策へ向けた政府との早急な交渉こそ知事の重要な仕事だ。知事の決意は。
〇宮城文化観光スポーツ部長
今般制定されたこの条例は、観光産業の再興と安全・安心な島沖縄を実現することを目的としている。県としては条例を踏まえ、段階的な沖縄観光の回復を目指し、事業継続のための支援、水際対策、域内需要喚起、段階的な域外需要喚起などを実施するための予算の確保を、議会の協力を得ながら取り組んでいく。
○大浜 一郎(再質問)
知事の前向きな答弁と決意は。
〇玉城知事
個別の課題については、文化観光スポーツ部長の答弁した通り。沖縄県の医療、観光関連を含む経済に対する切迫さは国にしっかり伝える。大枠の計画の中で国に要求を求めていきたい。
○大浜 一郎(再質問)
すぐにでも動いていただきたい。話を変えます。内閣官房のコロナ対策室が進める社会実験がある。実証実験だがワクチン接種が高い自治体での実施が望ましく、実証効果も検証できると思う。石垣市は接種対象人口の8割が2回目の接種を終え、スマートフォンを活用した独自の社会経済活動再開を試みている。その辺りをどのように考えているか。
〇大城保健部長
国の実証事業は県としても参加する方向だ。いろいろ諸条件があるのでその辺が調整中であり、整ったら進められると考えている。国からは10月に実施したいとの説明があり、近々回答がいただけると思う。

3. 市町村と県のワクチン接種者数差異について
〇大城保健部長
県では市町村別接種状況について、医療従事者等を含まない一般住民分について国から情報提供を受け、その情報を基に市町村別接種状況を公表していた。市町村では医療従事者等を含む接種状況を把握していたため差異が生じていた。今般、新しいツールが導入され、県でも接種実績を把握できることになった。令和3年9月21日より差異に関しては解消されていると認識している。
○大浜 一郎(再質問)
今朝(9月27日)の数字だが、石垣市では65歳以上一回目が93.8%、二回目が92.3。12歳以上の接種人口では、一回目が82.7%、二回目が78.6。石垣市の総人口の中では68~69%くらい。経済再開のためにはワクチン接種率が大きな一つの目安であり、大事な科学的根拠だ。そこで差異があってはいけない。できるだけに差異が無いように頑張ってほしい。

4. 緊急事態宣言下の柔軟な措置区域対応について
〇大城保健部長
緊急事態宣言の対象地域を指定する際、広域的な対応が必要であることから、都道府県を単位として指定することになっている。法令上、一部の離島市町村を除き緊急事態宣言措置を実施することは排除されるものではないが、慎重な判断が必要であることが示されている。一方、まん延防止等重点措置区域に指定された都道府県では。地域の実情に応じた措置を知事が定めることとされている。
○大浜 一郎(再質問)
緊急事態宣言下おいて、県は独自の施策や措置を講ずると報道にあった。その根本的な理由は何か。県の専門家会議ではまん延防止等重点措置への移行を求める声が大半だったと聞いている。その辺りはどうか。
〇大城保健部長
現在の感染状況や医療状況は一時期に比べるとかなり改善してきている。沖縄県、県専門家会議、県経済団体会議においても、解除されると認識している。ただ、県専門家会議においてまん延防止に移行するか、解除するかは国の判断もあるので、どちらになった場合でも措置が講じられるよう、県独自の措置についても検討をしたところだ。
〇謝花副知事
専門家会議では委員の多数は緊急事態宣言を解除できる状況にあるという認識で一致したが、いきなり宣言を完全に解除するということに関しては時期尚早だということで、まん延防止措置への移行を支持する意見が多数だった。しかし、4か月にわたって緊急事態宣言を行っていて、県内の多数事業者が悲鳴を上げていることも認識した中で、感染防止対策をしながらも手綱を緩めることなく、県独自の対応策を行う方向性について、知事から西村大臣に説明を申し上げた。政府と意見調整や事務的な意見交換を行い、認められれば県が示した対応を実施していきたい。
○大浜 一郎(再質問)
県独自の施策にある時短営業事業者への協力金について、これは臨時交付金の対象となり得るかどうか。
〇宮城企画部長
国は9月30日までの間、緊急事態宣言、まん延防止措置、その他の地域にあっても時短協力要請に基づく支援金は財政支援をすることを示している。10月1日以降は明らかではないが、明日に国の支援の在り方が示されるものと聞いている。

5.尖閣諸島の課題について
〇金城知事公室長
石垣市は尖閣諸島への行政標柱設置予定である旨を発表し、国へ上陸許可を求め申請するとしている。上陸の可否は国において慎重に検討されるものと考えている。県としては、尖閣諸島問題は平和的な外交・対話を通じて解決が図られるよう、日本政府に対し引き続き強く求めていく。石垣市が尖閣情報センターを設置予定していることは承知している。県としては、石垣市の意向等を踏まえ、どのようなことができるか検討していく。中国の改正海上交通安全法施行については、報道により9月1日に施行されたことは承知している。中国の領海を脅かす可能性のある外国船を退去させ、追尾する権限等を与えるものになっており、同法の施行に伴う尖閣諸島周辺における影響を第11管区海上保安部に確認したところ、現時点で特段の変化はないとのことではあるが、関係部署と連携し、引き続き情報収集に努めていく。
○大浜 一郎(再質問)
中国のメディアは石垣市が標柱の設置を国に求めることについて、重大な挑発だという記事を出した。尖閣字名改名後、石垣市はまだ挑発を続けている。そしてこれ(標柱設置)は茶番劇だと。知事にお聞きしたいが、石垣市の取り組みは中国への挑発にあたるのか、これは茶番劇だと思うのか。
〇金城知事公室長
県としては、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国の固有の領土であり・・・・・
〇大浜 一郎
こういう話はいい。挑発かどうかと聞いている。毎回同じことばかり言っている。
〇宮城企画部長
県としては中国との間に領土問題は存在しないという風に考えている。今議員の言った指摘は全く当たらない。
(休憩)
〇金城知事公室長
県としては、石垣市の行政標柱設置については、挑発という行為には当たらないと考えている。
○大浜 一郎(再質問)
当然当たらない。1969年に石垣市が既に設置した標柱があり、それの取替えである。県は石垣市と歩調を合わせて国に上陸申請をし、一緒に行くべきだ。
〇金城知事公室長
県としては今般の石垣市が行政標柱設置には、尖閣諸島を行政区域とする石垣市が、貴重な財産である尖閣諸島を後世に責任を持って引き継ぐ考えの下に行われると理解している。一方県としては上陸に際しての職員の安全、中国の違法行為がエスカレートするのではないかという懸念を含め、国において適切に判断されると理解している。県としては、平和的な外交・対話を通じて解決が図られるよう、日本政府に引き続き強く求めていく。
○大浜 一郎(再質問)
非常に残念だ。

6.新たな離島振興計画骨子案について
〇宮城企画部長
本県離島は人口規模・地理的条件・産業構造等様々だが、共通の特性を有する離島では課題やニーズ。必要な施策が同様であると考える。新たな離島振興計画においては、医療・観光などの分野ごとに共通特性を有する離島をグループと捉え、その特性に合わせて施策を組み立てる。離島間の協力や連携、相乗効果の高い効果的な施策を展開していきたい。

7.石垣空港線事業について
〇島袋土木部長
新石垣空港から石垣市道宮良産業道路まで今月供用開始したところであり、残る区間の一部用地について交渉が難航しており、現在任意交渉と並行して土地収用法に基づく収用手続きを進めている。引き続き予算確保に努めるとともに、早期の全線供用に向けて取り組んでいく。

8.県立八重山病院の分娩介助料値上げの対処策について
〇我那覇病院事業局長
県立病院において妊婦が出産する場合、実際の分娩に係る経費が、妊婦が支払う分娩介助料の額を上回っていることなどから、令和元年12月27日付けで分娩介助料の条例改正を行った。同改定に伴う経済的負担については、どのような支援が可能か関係部局と検討を行っていく。
○大浜 一郎(再質問)
16万円に値上げされてから、自己負担がかかっているという声が大きくなってきている。当初から懸念されていた問題で、救済策が無いから我が党は条例の値上げに反対した。16万円に値上げされてから出産した件数、一時金を超えた件数は何件か。
〇我那覇病院事業局長
令和2年度の県立病院における分娩件数は、2167件。一時金を超えた件数は時間外が93件、休日と深夜が141件となる。
○大浜 一郎(再質問)
これはもう検討の段階ではなく、対策をすぐにでも練るべきだ。
〇我那覇病院事業局長
議会からも陳情を含めていただいている。病院事業局からの単独補助は非常に難しいが、関係部局関係機関と一緒に検討を行っていく。

9.石垣竹富間貨物船新造費用の一部負担について
〇宮城企画部長
県は離島住民と生活物資、両方の輸送を担う貨客船の建造または購入に係る費用について支援を行っており、離島住民の輸送を行わない貨物船は対象外としている。竹富町の貨物船新造については、今後、関係部局と連携しながら現状の把握に努め、町と意見交換をしていく。

10.久部良港の係留施設整備について
〇下地農政企画統括監
漁港内での観光を目的とした船舶の係留施設整備については、実現可能と考えている。地域住民の合意形成を基礎とした活性化計画策定が必要となる。事業推進に向け、与那国町と十分な調整を行っていきたい。

11.石垣市のゴルフ場リゾート施設の進捗について
〇嘉数商工労働部長
地域未来投資促進法に基づき、令和3年8月30日に県が同意をしたところだ。今後、環境影響評価条例に基づく、事業者による評価書の補正手続き、農地転用許可申請、開発許可申請、開発行為に伴う各種許認可が必要となる。石垣市と連携しながら、関係部局において法令等に基づき適切に対応していく。

12.離島学生の入寮再開における方針変更について
〇金城教育長
本県では8月以降、急速な感染拡大により自宅療養者が急増、夏休みで帰省中の離島出身寮生が寮に戻り陽性者となった場合、自宅療養となることが予想された。そのため、苦渋の判断で自宅待機をお願いした。今般、療養場所の確保に一定のめどが立ったことから、全ての寮生の受け入れを再開した。
○大浜 一郎(再質問)
方針を変更されたのは了とする。しかし、当初の方針は離島の生徒の目線でなかったと思う。離島目線に立った運営方針をやってほしい。
〇金城教育長
8月に感染拡大が急速に広がる中、(自宅療養の)協力と支援をしていくということでさせていただいた通知だった。不安にさせたことは非常に心苦しく思っている。今回色んな支援策を立てる段階で感染者数が減少傾向に移ったこともあり、学びの保障を整えながら寮を再開させていただいた。今後このようなことがないよう、しっかり保護者の意見なども聞いていく。
【所 感】
沖縄振興予算の減額提示への知事の切迫感が無い。沖縄振興に必要な予算獲得は知事の政治力量の問題であり、新内閣との熟度を持った政策対話に県民生活はかかっている。尖閣諸島への行政標柱設置について知事の無関心さには憤りを感じた。
私は次期沖振計において「離島の振興なくして沖縄の振興はない」との強い思いを、新しく就任した西銘沖縄担当大臣とひざ詰めの議論を通して皆様との約束を果たしていきたい。

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