沖縄県議会報告(令和3年 第4回定例会)一般質問 要旨

沖縄県議会定例会(令和3年度第4回定例会 6月28日)一般質問を行いました。
1. コロナ対策関連
2. G7声明「台湾海峡の平和と安定」に対する知事の認識
3. 離島振興政策の成果と新たな課題
4. 西表島の環境美化整備方針・西表島北岸エリアの携帯電波障害改善
5. 与那国島空港線・田原川浸水防止対策等の整備
6. 南西諸島海底地震・津波観測網の早期整備への取り組み
7. 石垣島ゴルフ場建設における県手続の進捗状況
主に上記内容で一般質問及び関連質疑を行いました。以下、当局とのやり取り要旨を抜粋し、ご報告いたします。
 
1.コロナ対策関連
○大城保健医療部長 
~集団免疫体制確立の時期~
6月18日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2021において、希望する全ての対象者への接種を本年10月から11月にかけて終えることを目指す旨が示されている。県としても、集団免疫体制の確立に向けて早期にワクチン接種が完了できるよう、さらなる加速化に努めていく。
~感染源排除及び感染経路追跡調査~
感染源、感染経路の特定は、感染予防対策上重要であると認識している。今回感染者の急激な増加により保健所では業務が逼迫し、一部では積極的疫学調査において迅速な対応が取れなかったことが課題となったが、関係機関の応援により現在は改善しているところ。県としては、感染者の急激な増加に備え、応援保健師等の招集や、保健師以外の職員も積極的疫学調査に対応できるよう体制強化に努めていく。
~自宅待機者の隔離方針~
コロナ感染症の無症状または軽症の患者については、基本的に宿泊療養としているが、宿泊施設に空きがなく適切な感染対策が可能な場合には、自宅にて療養を行っていただき、宿泊療養が望ましい方については、宿泊施設に空きが出れば、速やかに入所していただくことにしている。
○大浜 一郎 
沖縄は全国の中で唯一レッドゾーンのままというような状況だ。沖縄県は結果的にコロナ対策において、現時点においては落第点だと評価されても仕方がない。知事はコロナ対策本部長として県民に今何を伝えるべきか。
○玉城知事
全ての県民に対して心からの敬意と感謝を申し上げたい。集団免疫を獲得するため、市町村・県が行っているワクチンの接種体制を早く進め、可能な限り早期に集団免疫の獲得へ取り組んでいきたい。
○大浜 一郎 
ワクチン接種事業について、今回10億6000万円もの多額の補正予算を計上しながら、準備すべき多くの課題がまだ検討中という答弁に驚いている。コロナ対策本部長として陣頭指揮を執る決意は。
○玉城知事
市町村を補完しながら、広域センターでもできる限り早期にワクチンの接種を行える体制を取り組みたい。感染リスクの高い職種や社会秩序の維持及び経済活動の回復に従事するエッセンシャルワーカー等を対象として、那覇クルーズターミナルにおいてその接種を進めていき、観光関連産業の方々の集団的な接種も併せて進めていく。
○大浜 一郎
石垣市同様ワクチン接種が順調な自治体においては、首長のリーダーシップが重要な役割を担うということがはっきりしたのではないか。知事は12月までに接種を何とかしたいというようなことをおっしゃっているが、これは国のスケジュールよりも1か月遅い。知事はワクチン接種を加速化すると発言したことに大きな責任がある。一日でも早く沖縄県の安全宣言を提示して、次の観光産業や地域産業の再興に向けた取組に万策を尽くすべきだ。コロナ対策本部長としての意気込みは。
○玉城知事
可能な限り早期に集団免疫が獲得できるよう、しっかりと頑張っていく。
○大浜 一郎
感染経路の追跡だが、保健所においては、現場の逼迫から追跡調査を一時取りやめる状況になっているのは承知をしている。昨年から県内の感染状況からして、保健所の対策は徹底しておくべきだった。現状の対策をもう一度徹底しなければならないのではないか。
○大城保健医療部長
保健所の業務が逼迫したのは事実。そのために保健師等115名を保健所に派遣して取り組んだところであり、県としては保健師以外にも県の職員で積極的疫学調査を代われるような体制をつくれるよう、研修等を含めて体制を整えていきたい。
○大浜 一郎
デルタ株が沖縄でも確認され、1人は八重山保健所管内で確認されているが、その一報が保健所から石垣市に知らされていなかった。情報管理の共有がおろそかになっている。謝花副知事、これはなぜか。
○謝花副知事 
情報共有は大事だと思っている。デルタ株の表明については、確認をした後、東京のほうに送って再度確認を行うという状況があった。その間にその方は既に八重山病院のほうで隔離された病床にいた。そういった一報あったときには、今後石垣市のほうにも情報共有を行うよう、働きかけていく。
○大浜 一郎
速やかに情報共有できるような体制に立て直してほしい。軽症者の専用宿泊施設への隔離だが、空室がないというのはどういうことなのか。
○大城保健医療部長
軽症者用のホテルについては、室数としては確保している。部屋の清掃が間に合っていないというような、入れるような状況になっていなかったということで空室がなかったというような表現をした。
○大浜 一郎
感染の温床となっている家庭内の療養なので、早期に移れるように最善の努力をお願いしたい。
 
2.G7声明に対する知事の認識
○玉城知事 
沖縄県としては、台湾海峡を含むアジア太平洋地域における平和と安定は、県民の生命・財産を守り、沖縄の振興・発展を図る上で極めて重要であることから、関係諸国による平和的な外交・対話が行われ、同地域の緊張緩和や信頼関係の構築が図られることが必要であると考えている。
○大浜 一郎
今般のG7サミットの共同宣言に台湾海峡という文言を入れるのは初めてのことであり、世界の主要国が台湾海峡を厳しい目で見ている。沖縄と台湾、とりわけ八重山地域は尖閣海域での中国の暴挙による危険性が増大すれば、いや応なしに巻き込まれることは避けられない。中国の高圧的な振る舞いに対して、知事は自らの言葉で直接抗議することを拒んでいるが、民主主義を重視して世界を先導する主要国の首脳は、中国の身勝手な暴挙にノーだと宣言した。知事はこの件に関してどういうふうに思うか。
○金城知事公室長
県としては、領土問題は存在しないとする国の考え方を全く同じ見解で支持するものであり、中国政府が繰り返すこの行為に対しては、日本政府が冷静かつ毅然とした対応を継続していくことが重要であるというふうに考えている。
○大浜 一郎
毎回同じ答弁だ。知事からこの所見がもらえなかったのは非常に残念。知事がこの地域の本当に平和を願うのであれば、台湾海峡の平和は維持をされなければならない。これは沖縄の平和にとって極めて重要な要素である。沖縄と中国の歴史的なつながりを尊重して、互いに友好的関係の維持を望むのであれば、沖縄県民は中国の身勝手で覇権主義的な暴挙を絶対に許すことはできないと。これは知事が平和維持への思いとして中国に主体的に言うべきメッセージではないか。
○玉城知事
先ほど公室長が答弁したとおり、沖縄県も政府のその認識を踏襲させていただいている。平和的な外交対話が行われ、この尖閣地域の緊張緩和や信頼関係の構築は非常に重要であるというふうに認識をしている。
○大浜 一郎
私は主体的にメッセージを発したらどうかと聞いている。
○玉城知事
日中関係について日本政府がしっかりと対応していくものというように認識をしています。
平和構築のためのようなメッセージは検討していきたいと思う。   (続)
 
3.離島振興政策の成果と新たな課題
○宮城企画部長
県では、離島住民が安心して暮らせるよう、交通・生活コストの低減や情報通信基盤の整備、島々の特性に応じた各種産業振興施策を行ってきた。定住条件の整備・向上など、一定の成果があった一方、人口減少対策や人材確保・育成など課題も残されている。新振興計画においても、離島振興を最重要課題に位置づけ、市町村とも連携し取り組んでいく。
 
4.西表島の環境美化整備方針・西表島北岸エリアの携帯電波障害改善
~仲間港、船浦港の廃棄パレット等の撤去及び駐車場の整備~
○島袋土木建築部長
離島港湾内の環境美化に努めることは重要であり、港内のパレットや車両等については、県として放置させないルールの遵守に向け、関係機関と連携協力し取り組んでいく。また、仲間港の整備については、現地状況を調査の上、対応方針を検討していきたい。
~八重山地域の道路植栽管理~
○島袋土木建築部長
八重山地域の県管理道路は、年1回から3回程度の除草を行っている。街路樹については、交差点部や信号機等の視認性を阻害する箇所の剪定を優先的に実施。西表島においては、年間を通じて良好な沿道景観が形成できるよう、効果的・効率的な植栽管理に取り組みたい。
~西表島の海岸漂着ごみの処理方針~
○松田環境部長
県では、国の補助制度を活用して海岸管理者や竹富町が海岸漂着ごみの回収・処理を実施する際に、事業費の9割を補助しており、令和2年度は約94トン・約800立方メートルを回収・処理。引き続き国や地元と連携して、海岸の美化活動の充実を図っていく。
~西表島北岸エリアの携帯電話不感地帯への対応~
○宮城企画部長
西表島北岸エリアの一部は、基地局が未整備で不感地帯が発生している。現在、竹富町から携帯事業者に対し、インフラシェアを活用した基地局整備の提案がなされたところであり、県としては引き続き連携し取り組んでいく。
 
5.与那国港線・田原川浸水防止対策等の整備
~与那国港線整備状況~
○島袋土木建築部長
与那国港線の令和2年度末の進捗率は、事業費ベースで約13%。令和3年度は、所要額を確保して用地取得に取り組んでいるところであり、令和8年度の供用を目指し整備を推進していく。
~田原川河川整備事業~
○島袋土木建築部長
浸水被害軽減や周辺環境に配慮した河川整備に向け、平成30年度から事業に着手し、令和2年度に河口から約300メートルの護岸詳細設計が完了している。令和3年度は橋梁詳細設計等を行う予定。
河口部の暫定的な掘削も検討しながら、引き続き与那国町と連携を図り、早期の工事着手に取り組んでいく。
 
6. 南西諸島海底地震・津波観測網の早期整備への取り組み
○金城知事公室長
~防災対策・南西諸島海底地震・津波観測網の早期整備~
海底地震・津波観測網は、国が北海道から高知県沖まで整備を行い、現在、高知県沖から日向灘の整備が進められているが、南西諸島周辺においては現時点で未整備。沖縄県としては、令和3年6月に九州地方知事会を通じ、整備に向けた検証・評価を国へ求め、今後とも関係する各県とも連携し、南西諸島海底地震・津波観測網の早期整備に向け取り組んでいく。
○大浜 一郎
南西地域への観測網の件だが、今年は明和の大津波から250年、防災対策は極めて重要だと再認識した。(南西地域観測網について)九州地方知事会から意見書が出ているが、それについて何かフォローとか調査関係はしているのか。
○金城知事公室長
琉球海溝付近においては南海トラフ地震のような海溝型の巨大地震が起きる可能性があることが大学等の研究で明らかになっている。国においても検証、評価を行うこととの表現がある。県としては、今年6月の九州地方知事会を通じて、引き続き整備に向けた検証、評価を国へ求めた。
○大浜 一郎
琉大仲村教授とウェブ会議をした際に、「全然県からの問合せがなく、何のフォローもない。」というやり取りがあり、県が全く無関心なのだとの印象を受けた。コロナ禍で(津波を伴う震災が)起きたら大変だということも踏まえてフォローしていただきたい。
 
7.石垣島ゴルフ場建設における県手続の進捗状況
○崎原農林水産部長
~石垣島ゴルフ場整備における土地利用調整の進捗~
現在、石垣市のゴルフ場建設に伴う土地利用調整計画案においては、広大な農用地区域が含まれている。県としては、地域未来投資促進法における土地利用調整の基本方針及び基本計画、農振法に沿って、石垣市と十分な調整を図っていく。
〇大浜 一郎
(※再質問において法律・行政用語の解釈等が主な質疑のため要約し、所感をまとめる。)
ゴルフ場を含むリゾート開発整備計画において石垣市は、地域未来投資促進法(以下未来法)を適用して開発許可を申請した。この未来法は、地域の特性を生かして、高い付加価値を創出し、地域の事業者に対する相当の経済的効果を及ぼす「地域経済牽引事業」を促進することを目的とする法律である。石垣市はこれを用い、基本計画を沖縄県と共同で作成し、令和2年9月25日に国から同意を得て、土地利用調整計画が県に提出され、石垣市と県の担当部局と事前協議が行われていた。
しかしながら事前協議において市と県担当部局の未来法における農振法の運用解釈について相違があり、市と県の協議が長引いていることから、関係当局が国に対しこの事案に対する疑問点を照会し回答を得て、その回答に基づき農振法の運用解釈における課題点を再質問で問うた。
県の土地利用調整計画の同意については、未来法に基づき計画が国から同意された基本計画に適合することが要件であり、未来法における農地転用は地域の実情に応じた産業振興、地域全体の農業振興等の「土地利用調整の視点を踏まえ、総合的に判断する」とされており、農振法の考え方を参考にすることは問題ないが、農振法に基づくと規定されていない。また、土地利用調整区域に農用地区が含まれる場合は、地域経済牽引事業として機能できる必要最小限面積とされており、事業者の立地ニーズも考慮され農地転用面積の制限は規定されていない。
県は100ha余りの農地転用計画に難色を示していたが、その面積は石垣島の農用地の1%程度であり、農業振興に大きな毀損をもたらすものではなく、逆に施設整備の完成、稼働により、地域農産物の地産消費、高単価の旅行者誘致等による施設整備の経済効果は250億円との試算結果からして、新たな富の生産基盤が整備されると期待され、加えて、ジュニアゴルファー育成、生涯スポーツの利活用への視野も拡がる。
現在(8月11日時点)、行政の調整事項も進展していると聞いており、当該地域環境に十分に配慮した施設整備が進展することに期待している。

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