沖縄県議会(第1回定例会2021年3月2日)一般質問要旨
沖縄県議会定例会(令和3年度第1回 3月2日)一般質問を行いました。
1.知事の政治姿勢について
2.八重山地域の諸課題について
3.自民沖縄の代表質問に関連して
主に上記内容で一般質問及び関連質疑を行いました。その時のある質疑がネットニュースで大きく取り上げられ、様々な方面からの反響がありました。以下、その時の当局とのやり取り要旨を抜粋要約し、ご報告いたします。
〇知事の政治姿勢について~中国海警法の施行に伴う海上保安庁の対処について~
【知事公室長答弁(以下答弁略)】「知事の政治姿勢、中国海警法の施行に伴う海上保安庁の対象方針についてお答えいたします。中国海警法の施行について、奥島海上保安長官は2月17日の会見において、(略)自衛隊をはじめとした関係省庁と緊密に連携し、冷静にかつ毅然とした対応を続けていくとの趣旨の発言をされたと承知しています。」
〇大浜一郎再質問 “中国海警法における県警の役割について、(略)現場海域において今後様々な事案発生が想定される中、危惧される具体的事案は、不法上陸が行われた場合、灯台その他設置物の破壊を企てた場合に、我が国(本県県警)は、警察権を持ってそれを阻止・逮捕・拘束など実力行使を当たり前に現場で行うのかについてお聞きしています。”
【警察本部長】「仮に武装集団による不法上陸事案が発生した場合には、海上保安庁等の関係機関と緊密に連携して適切に対処してまいります。」
~休憩~ 大浜一郎 “私は、(不法上陸事案に)適切に対処とは分かりますが、阻止・逮捕・拘束などの具体的な警察権行使をするのか、とお聞きしています。”
【警察本部長】「過去の不法上陸事案におきましても検挙措置をとっておりますので、同様のことを考えております。」
〇大浜一郎再質問 “中国海警法における知事の認識なのですが、知事は所信においても尖閣諸島の問題について数行触れる程度でした。(略)知事はこの海警法は国際法上、国連海洋法条約上どう思われているのか、それと緊張を高める危険な海域にしているのは一体誰か、一体誰かということを、知事の見解を伺います。”
【知事公室長】「中国海警法については(略)国際海洋法条約に反するというふうに理解をしています。危険な行為を繰り返し行われているのは、中国海警局によって行われているというふうに理解をしています。」
〇大浜一郎再質問 “海警法は国際上違法だ、海域の緊張を高めているのは中国だと思っているわけですね。その確認でいいですね。”
【知事公室長】「私の答弁は国連海洋法条約に違反をする懸念があるというふうなことを踏まえて答弁をしたところです。それから危険な行為を起こしているのは中国当局によるものと認識しているところです。」
〇大浜一郎再質問 “これは知事がお答えした方がいいんじゃないですか?(略)何で知事公室長がさっきから答えているんですか。知事、はっきり言ってくださいよ。国際法違反だと。あそこの海を険しくしているのは中国なんだとはっきり言ったらいいじゃないですか。”
【玉城知事】「沖縄県としては、(略)去る2月19日も関係要路に私から要請をさせていただきました。やはり安全確保や冷静かつ平和的外交、対話によって中国との関係改善を図ることについての内容で要請をさせていただいたところです。」
~休憩~ 大浜一郎 “何で私の言葉に答えてくれないんですか。国際海洋法違反だというふうに(知事公室長が)答弁したから確認をしているんですよ。緊張を高めているのは中国なんですよね、と確認しているんですよ、私は。”
【玉城知事】「岸防衛大臣は会見において、海警船舶が我が国の領海内であのような活動をしているという状況は国際法違反である。(略)海警法は国際法に合致しない懸念があると発言をしております。また、茂木外務大臣も会見において、尖閣諸島周辺の我が国領海内で独自の主張をするといった海警船舶の活動はそもそも国際法違反であって、中国側に厳重に抗議をしているというように発言をしておりまして、沖縄県もそのように意をおなじくするものであります。」
〇大浜一郎再質問 “実は、2月11日に一方的な海警法の施行によって地元漁民の声として、尖閣海域での漁にわざわざ行きませんよ、というような記事が掲載されました。私も心情を察しますが、尖閣で漁の経験のある漁師に直接お聞きしましたところ、漁場としてはものすごくいいんだそうです。しかしながら今行ったら中国の船ににらまれるし、海保にも迷惑をかける、そんな状況の中で安心して漁なんかできませんよと。平穏な海なら漁に向かう漁師もいるでしょうけど、いつしか中国漁船が我が物顔で中国軍艦に保護されながら漁に押しかけるかもしれない。(略)知事はそんな場面想像したくないでしょう。どう思いますか、今のこの現状。”
【知事公室長】「県といたしましても、尖閣諸島につきましては、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、中国との間に領土問題は存在しないとする国の立場を強く支持するものであります。同海域において本県の漁船等が安全・安心に操業できる環境というものを日中両国間の平和的な外交、対話によって実現をしていただきたいというふうに考えております。」
〇大浜一郎再質問 “どうしてなんです。知事にお聞きしているのに何で知事がお答えできないんですか。そういう心情までも何で知事公室長がお答えになるんですか。(略)お願いしますよ。これぐらいのことはお答えできるでしょう。”
【玉城知事】「平穏な海域において通常の漁を続けたいというその漁師の気持ちは十分理解をいたします。」
〇大浜一郎再質問 “冷たいですね。ちょっと冷たいですよ。知事、もう少し寄り添ってくださいよ。これはもうちょっと寄り添った言葉を言わないと。知事、沖縄県の長ですよ。知事は所信で、日中関係改善に向けたいわゆる4つの原則に大きな期待を持っておられるようですけれども、これはもはや幻想です。今どきの国際情勢に対する知事の認識は極めて甘い。中国は国際的に身勝手で乱暴な海警法をぶつけてきて、(日中関係改善に向けた)原則的共通認識などは、「日本が守るべきものである」と中国のメディアは報道しているんです。中国には、「知事の期待に沿うような意思などみじんもない」ということを理解すべきだと思います。そこでお聞きをしますが、知事は米軍の低空飛行についてワジワジーしていると発言されました。私も同様です。十分に抗議すべきだと。しかし、尖閣諸島での度重なる暴挙に対して知事はワジワジーせんのですか。どうですか。”
【知事公室長】「米軍機による低空飛行については、(略)県としては日米両政府及び米軍に対して強く抗議を行ったところでございます。加えて尖閣諸島海域における中国政府の行動は、既存の国際秩序とは相容れない独自の主張に基づいて自らの力を背景とした形で、一方的な現状変更の試みという形で行われているものというふうに理解をしておりまして、そういった行為は許されるものではないというふうに理解をしています。」
〇大浜一郎再質問 “ワジワジーもせんのですね。知事は所信表明、代表質問答弁で直接米国政府へ今の米軍基地の問題を訴えると表現しておりますが、この際、北京にも行かれて中国政府に厳重に抗議をするということも視野に入れたらどうですか。”
【知事公室長】「繰り返しになりますけれども、県としましては、日中双方が対話と協議を通じて情勢の悪化を防ぎ不測の事態の発生を回避するなど、冷静かつ平和的な外交によって相互信頼関係の構築に努め、尖閣諸島に係る問題の解決に取り組むことが重要であると考えており、引き続き国に対して求めて参りたいというふうに考えております。」
〇尖閣諸島 ~石垣市における尖閣諸島資料館建設構想について~
【知事公室長答弁(以下略)】「県としては尖閣諸島に関する広報啓発は重要と考えている。石垣市の意向等も踏まえ、県としてできることを検討する。」
〇地域医療体制 ~暫定ヘリポートの夜間照明について~
【知事公室長答弁】「不具合のあった可搬式照明は1月上旬に新たな照明と交換済である。また、急な照明の故障に備え、1セットを2月半ばに追加購入し配備し、県としては予備セットを含め安定運航に支障がないよう関係機関とも連携して対応していく。」
〇大浜一郎再質問 “救急搬送ヘリポート夜間運用について、人員コストと予備の可搬式照明のコストはどれくらいか”
【知事公室長】「可搬型照明については1セット百二十万円程度。(人員コストについては)八重山病院において警備員を専任で一人配置し、11月から3月までの間で約二百二十万円相当の経費がかかる。」
〇大浜一郎再質問 “年間通すと(人員コストが)相当な額になる。恒久へリポートを造るまでは常設でやったほうがいいのではないか。照明の故障修理も那覇へ送らないといけない、その点の対策も含め、前向きに検討できないか”
【謝花副知事】「病院事業局の警備の方で委託のものが1人二百万円ということであり、知事公室と病院事業局で交渉し、さらに調整をしていただく。恒常的な照明設置は二千万円ほどかかる。暫定ヘリポートということもあり、数年後の撤去費用を含め、全体を勘案しながら(常設の照明)設置等について検討していきたい。」
〇観光業支援 ~緊急事態宣言下における観光関連事業者への支援等について~
【文化観光スポーツ部長】「県としては観光関連事業者への支援として。StayHotel事業を実施、三月十日からおきなわ彩発見キャンペーン第三弾を実施する。国内需要取り込みとしてワーケーションの誘致や離島周遊型観光を促進する。県雇用継続助成金支給や県単融資事業により観光関連産業への支援を行う。」
〇大浜一郎再質問 “観光関連事業者への迅速な対応について、県も一生懸命やるから政府に対しても緊急支援が必要だ、と直談判するような素早い行動を知事にお願いしたい。”
【玉城知事】「これまで十五次にわたって総額二千四百七十五億円を手当てさせていただいた。西村大臣に直接電話をして財政支援要請を行った。観光の回復なくして沖縄経済の回復なしという思いは議員と共通の思いである。全庁で確認をし、日々取り組んでいる。」
〇医療・コロナ対策 ~①石垣空港等離島空港におけるPCR検査体制について ②県立病院医師派遣補助事業等の具体的内容について~
【保健医療部長】「(①の回答)県では来訪者に対し、事前のPCR検査を推奨している。また那覇空港において希望者のPCR検査を実施、那覇空港から離島空港へ向かう場合も対象として実施している。(②の回答)県立病院専攻医養成事業は、令和三年度八重山病院及び附属病院へ研修の一環として5名の医師派遣が予定されている。」
〇大浜一郎再質問 “離島空港におけるPCR検査は(離島本土間の)直行便対策が検討されていないのではないか。”
【保健医療部長】「(離島本土間の)直行便対策として直接的なというところまではまだできておありませんが、今後拡充に向けて検討を進めたい。」
〇大浜一郎再質問 “宮古も石垣と一緒だが、早急に対応を検討していただきたい。”
【保健医療部長】「関係する部局も複数あるので、課題等整理して検討したいと思う。」
〇八重山病院職員の充実した配置について
【病院事業局長】「令和三年二月一日時点の八重山病院の職員配置状況、医師定数五十一名に対し五十一名、看護師定数百九十六名に対し百九十三名、コメディカル(技師等医療従事者)五十九名に対し五十八名となっている。令和二年度は夜間救急対応等の目的で放射線技師、臨床検査技師を四名ずつ増員し二交代制に対応した。今後も適切な人員配置に努めていく。」
〇ゴルフ場 ~地域未来投資促進法手続きの進捗について~
【商工労働部長】「同法に基づく基本計画は令和二年九月二十五日付で国の同意を得た。現在は土地利用調整計画調整案が県に提出されており、市と県の担当部局において事前協議を行っている。」
〇大浜一郎再質問 “地域未来投資促進法を使ったゴルフ場等施設整備について、環境影響評価準備書に対する知事意見書が提出され、今後協議が進められると聞く。進捗状況はどうか。”
【環境部長】「県の方が環境影響評価準備書に対する知事意見書を提出したので、事業者側が県に提出する評価書の作成事業に着手していると考えている。」
〇大浜一郎再質問 “離島の魅力を発揮し、地域経済が稼ぐ力をつけるための経済的なインフラ投資は必要であり、(ゴルフ場等)施設整備も地域の稼ぐ力をつけるための経済的投資だと考えている。富川副知事のご意見はどうか。”
【富川副知事】「石垣市における地域未来投資促進法を活用した取り組みは、地域のさらなる産業振興に寄与するもので、県全体の観光推進に貢献するものだ。ただ、土地利用計画との整合性、関係法令との適合性及び環境影響評価書など、あらゆる観点から意見調整を行う必要があるため、同法及び関係法令に基づき適正に対処していく。」
〇鳥獣被害対策 ~石垣市における狩猟研修センター建設について~
【農林水産部長】「国の交付金にて施設の整備は可能だが、事業実施の採択要件等があり課題も多い。今後は石垣市や関係団体等との意見交換を行ってまいります。」
〇大浜一郎再質問 “狩猟センターについて、離島における鳥獣被害は統計以上に実態が大きいと思われる。八重山は害獣駆除の狩猟依頼や狩猟免許保持者も多いが、県内には狩猟センターがない。設置に向けて前向きな検討が必要ではないか。”
【農林水産部長】「九州の方で研修を受けている方々もいらして負担をかけていると思う。国の鳥獣被害防止対策交付金には、地域の狩猟協議会が企画する養成講座や、研修に係る渡航費等の支援メニューもあるので、地域と意見交換をしていきたい。」
〇石垣島製糖工場 ~石垣島製糖工場改修への助成拡充対処方針について~
【農林水産部長】「県としては沖縄振興の制度提言として、国の高率補助による新たな沖縄糖業高度化推進支援制度の検討を進めたい。」
〇その他、自民党沖縄会派の代表質問に関連して、〇次期沖縄振興策策定の取り組みについて〇次期沖縄振興策の経済担当副知事の突然の交代の理由についても質問を行いました。
【県議会二月定例会所感】
知事の政治姿勢として米軍基地の対応と尖閣問題への対応は雲泥の差である。コロナ禍における観光関連業界の窮状の声に、政府へ強く直談判する姿勢も乏しい。今、知事は新しい沖縄振興計画策定へ向けて全力投球すべきであり、離島振興は沖縄振興の一丁目一番地として取り組むべきである。
(県議会二月定例会は動画でも視聴できます。Youtube「沖縄自民党」、または沖縄県議会中継からご覧ください。)