沖縄県議会(第4回定例会2020年7月10日)一般質問要旨
1 知事の政治姿勢について
(1) 次期沖振計へ向けた知事の基本的政策骨子について
ア 現行沖縄振興特別措置法の制度評価と次期沖振計へ向けた必要な制度設計について
【知事答弁】今年3月総点検報告書を取りまとめ、同報告書において一括交付金は引き続き戦略的活用が必要。沖縄関係税制は拡充等が必要。高率補助制度は社会資本の整備を計画的に進めていくため必要。これらの検証結果や新沖縄発展戦略等を踏まえ、新たな沖縄振興の在り方について総合的に検討し国に対し説明していく。
イ 次期沖振計における離島振興の重点政策課題の提起について
【企画部長答弁】各種施策展開により、県民満足度の向上など一定の成果があった。沖縄21世紀ビジョン基本計画等総点検報告書において、離島を支える人材の確保、育成などの課題及び、人口減少対策と地域の存続など新たな課題も示された。これらを検証し、離島振興を県政の最重要課題に位置づけ、さらなる振興に取り組んでいく。
(2) 過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)へ向けた政策対話について
【企画部長 答弁】過疎法が令和3年3月31日期限を迎えるため、国において新たな過疎法の制定に向けた検討が進められている。本県の過疎市町村は、他県に比べ財政基盤が脆弱なところが多いため、過疎対策事業債などの制度が活用できるよう今後も新法の適用が必要。昨年度から県内過疎市町村と協議を重ね要請活動を行っており、継続して指定されるよう引き続き国に働きかけていく。
(3) 尖閣諸島における諸問題について
ア 中国公船による与那国町漁協漁船、八重山漁協漁船追尾事案への知事の認識について
【農林水産部長 答弁】今回のような事態は断じてあってはならない。これまでも国に対して要請を重ねてきており、去る5月農林水産省、外務省、国土交通省に対し要請を行った。引き続き本県周辺海域における漁業者の安全確保について国に対し強く求めていく。
イ 尖閣諸島の字名を登野城尖閣への変更及び中国自然資源省が尖閣周辺海底に名称 付与した事案への知事の認識について
【知事公室長 答弁】尖閣諸島に係る字名を登野城尖閣に変更する議案が石垣市議会において可決され10月1日から施行される。字名の変更は石垣市の事務として行われたものと承知。中国政府が海底地形に名称をつけたことに対し、菅官房長官が中国側に抗議したことについても報道にて承知。我が国固有の領土であるという日本政府の公式見解と同様。
(4) 新型コロナ水際対策強化策について
ア 新石垣空港へのTACO(旅行者専用相談センター)設置の対処方針について
【文化観光スポーツ部長 答弁】宮古空港・石垣空港をはじめとする県外からの直行便を有する離島空港へのTACOの設置は早急に進める必要がある。地元自治体や県出先機関と意見交換を進め、各離島における医療提供体制等に応じた取組を進めていく。
2 八重山地域の課題について
(1) 医療体制について
ア 新型コロナ対策における県と地域自治体及び関係機関との連携システム強化策について
【保健医療部長 答弁】第2波に備え、保健所の体制強化に取り組むこととしており、新型コロナウイルス地方本部について、地元自治体や地区医師会との連携を図り、情報共有や意見交換が行えるよう取り組んでいく。
イ 新型コロナ対策における県立八重山病院の医療物資、医療器材等の充実配備について
【病院事業局長 答弁】県立八重山病院の医療物資について、医療用高性能マスク、フェースシールド、アイソレーションガウン等、平常時より多くの在庫を確保している。医療機器はPCR装置、X線撮影装置、血液浄化装置、人工呼吸器等を速やかに整備していく。
ウ 急患搬送暫定ヘリポート設置完了時期の確認及び夜間運用における対策の進捗について
【知事公室長 答弁】急患搬送時間の短縮を図るため、石垣市等関係機関と協議の上、県立八重山病院の南側隣接地に暫定ヘリポートを整備することとしており、11月上旬頃の供用開始を目指し、夜間運用は可搬型照明の整備により対応する。
(2) 農水産物等輸送費について
ア 新型コロナの影響による新石垣空港発着県外航空便欠航、石垣―那覇間航空便減便により航空貨物臨時便で対応した石垣―那覇間経由県外出荷に伴う農林水産物等輸送費の県の対応について
【農林水産部長 答弁】航空会社に対し貨物輸送の確保について要請するとともに、出荷団体及び貨物代理店と意見交換を重ねてきた。臨時便の就航や機材の大型化が図られるよう農林水産物流通条件不利性解消事業の補助単価の特例支援を行った。これまで約300便程度が特例措置を活用し輸送を行っている。補正予算に計上している航空物流機能回復事業により臨時便就航を支援し県産生鮮品の円滑な航空輸送体制の確保を図っていく。
イ 農林水産物流通条件不利性解消事業における本島と離島間の輸送コスト軽減へ向けた新たな制度設計の必要性について
【農林水産部長 答弁】一括交付金を活用し、農林水産物流通条件不利性解消事業を実施している。本事業において離島から本島を経由して県外出荷される場合、離島・本島間の輸送費について補助対象とし、離島4市町において本島向けに出荷される水産物等に対する輸送費補助をそれぞれの実情に合わせ主体的に実施。同実績を総合的に勘案し、市町村と役割分担をし相互連携して取り組んでいく。
(3) 地域未来投資促進法を活用した地域経済活性化へ向けた取組の進捗について
ア 石垣島におけるゴルフ場を含むリゾート施設建設へ向けた進捗状況及び対処方針について
【商工労働部長 答弁】基本計画策定時の土地利用調整に係る疑義について、県と石垣市の連名で国に意見照会を行った。国から基本計画の策定時点、土地利用調整が終了していることを求めるものではないとの回答を得、同市や関係部署と申請に向けた準備を進めている。
当該基本計画が、地域の産業振興につながる計画的かつ効果的な取組であることを踏まえ、国の基本計画同意に向け適切に対応していく。
(4) 近年の集中豪雨多発に向けた道路等雨水排水設備更新及び河川氾濫が多発する石垣 市白保轟川治水対策への対応について
【土木建築部長 答弁】八重山地域で台風や豪雨による道路の冠水が発生しており、冠水対策事業により国道390号白保地区浸透池の整備を実施し、他の冠水箇所についても地元3市町と連携を図り対策を検討していきたい。準用河川である石垣市白保の轟川は、石垣市が主体となって治水対策に取り組むこととなっており、技術的な支援等を行っていく。
(5) 国営石垣島地区関連事業の進捗及び令和3年度に向けた取組と事業遂行を円滑にするための新たな取組について
【農林水産部長 答弁】令和2年度採択ベースで、区画整理30.4%、畑かん施設21.2%。令和3年度、県営伊野田中地区他3地区の新規採択予定。令和2年度は、対前年比51%増の約13億300万円を措置、令和3年度予算について引き続き所要額確保に向け取り組んでいく。引き続き地元の合意形成を図りながら事業効果の早期発現に努める。
3 我が党の代表質問との関連について
【知事公室長 答弁】中国公船の行為は不測の事態を招く恐れがあり断じてあってはならない。漁業関係者とともに政府に対し、中国公船による県内漁船追尾の再発防止と操業の安全確保を求める要請を行った。尖閣諸島をめぐる問題は我が国の領土、主権に関わる問題であることから、日本、中国両政府に全力を尽くしてもらいたいと考えている。
(所 感)
離島医療におけるコロナ感染拡大防止等は、知事自ら先頭に立って取り組むべき課題であり、離島後回しは絶対に許されない。
尖閣問題については、問題の本質をまったく理解していないから「県民を断固として守り切る」というメッセージすら言うこともできない。県の長としての資質を深く疑わざるを得ない。