沖縄県議会報告(令和元年 第4回定例会)一般質問 要旨

1知事の政治姿勢について
(1)八重山諸島に対する知事のチムグクルの心について
ア5月13日与那国島で50年に一度の観測史上記録的大雨時における知事の対応について
【知事公室長答弁】
  大雨警報発表時刻をもって沖縄県並びに八重山地方本部の災害対策準備体制をとり、要員を配備するとともに同日朝の幹部会議で知事を含め情報共有を図った。その後も随時担当部局から三役へ報告を行うとともに、知事からの指示により、農業振興統括監ほか関係部局の職員を派遣し被害状況の調査を行った。
 知事から、翌14日昼、与那国町長へ電話にてお見舞いと被害確認を行い、町長から人身被害はないことと町で被害状況の確認をし、報告をするとのことでしっかり対応していく旨知事から伝えた。
【農林水産部長答弁】
 与那国町における農林水産業関係の被害額は、農業用施設等で約1億3,850万円。
 農業用施設等について災害復旧事業等による速やかな復旧に努めており、8月には災害査定を受け、年度内の復旧に向け取り組んでいく。

イ現況被害状況把握及び具体的な早期復旧スケジュールについて
【土木建築部長答弁】
 与那国島における去る5月の豪雨による公共土木施設の被災については、県施設で田原川の護岸、県道与那国島線の擁壁が損壊しており、与那国町施設は町道帆安線、町道サンニヌ台線等ののり面崩壊が発生している。
 現在、県及び与那国町において、災害復旧の工法等を検討しており、今後、災害査定や復旧工事を行うこととしており、早期の復旧に向け取り組んでいるところである。

(2)尖閣諸島に対する知事の基本的認識について
ア尖閣諸島へ執拗に自説を主張する中国の領土的野心における、たび重なる中国公船の領海侵犯等圧力事案に対して知事としての明確な姿勢について
【知事公室長答弁】
 日本政府は、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、現に我が国はこれを有効に支配しており、尖閣諸島をめぐり、解決すべき領有権の問題は存在していないとの立場をとっている。
 沖縄県としては、尖閣諸島に関する日本政府の見解を支持するものである。
 去る6月22日には河野外務大臣に対し、尖閣諸島周辺海域をめぐる状況により、宮古・八重山地域の住民に不安を与えることのないよう、同諸島周辺の領海・排他的経済水域における安全確保について要請した。

イ5月24日の中国公船による尖閣諸島事案に関する5月31日の知事発言内容を6月17日に知事みずから撤回した真意について
【知事答弁】
 5月31日の定例記者会見における私の発言は、中国公船による領海侵入を許容するものではなく、不測の事態を回避し、事態をエスカレートさせないようにとの趣旨であった。
 冒頭、尖閣諸島が我が国の領土であるということをまず述べているが、「中国公船がパトロールしているので故意に刺激するようなことは控えなければならない。」との発言は、尖閣諸島周辺海域が日本の領海ではないとの誤解を与えかねず、尖閣諸島に関する私の考えとも異なるものであることから、その言葉、発言を撤回させていただいた次第です。
 尖閣諸島は、我が国固有の領土であるというのが日本政府の公式見解であり、沖縄県としても同様に考えている。またその認識は一にするものである。尖閣諸島をめぐる問題については、平和的な外交対話を通じて一日も早い解決が図られるよう、日本、中国の両政府に全力を尽くしてもらいたいと考えている。

(3)米軍基地問題に関する万国津梁会議について
ア当会議の有用性と実効性及び会議答申内容を踏まえての具体的な政策的出口戦略について
イ当会議の委員の選定理由、選定基準について
【知事公室長ア・イ一括答弁】
 米軍基地問題に関する万国津梁会議では、沖縄の置かれている厳しい状況や国際情勢の変化を踏まえた上で、在日米軍の駐留のあり方、海兵隊を初めとした在沖米軍の駐留の必要性等を再点検する中で、在沖米軍基地の整理縮小に向けた議論を行っている。委員の選定に当たっては、このような議論を行うに当たり、専門的な知見から御意見をいただける方を選定した。知事への最終的な報告がいつになるのかは現時点では未定ですが、いただいた御提言や御意見については、知事・副知事による調整を経た上で、県の政策や取り組みに反映させていきたい。

ウ当会議を非公開とした意図について、また今後カテゴリー別の開催予定の各会議においても非公開扱い予定なのかについて
【知事公室長答弁】
 米軍基地問題に関する万国津梁会議については、自由闊達な議論、忌憚のない意見交換を行う観点から、第1回会議において委員相互に確認を行った上で、非公開とすることを決定している。会議結果につきましては、事務局において議事概要を作成し公表することとしており、第1回会議の議事概要については、去る6月17日に県ホームページで公表を行っている。
【文化観光スポーツ部長答弁】
 県の附属機関等の会議の公開に関する指針では、附属機関等の会議の公開・非公開については、当該附属機関等または当該附属機関等の長が決定することとなっております。万国津梁会議の各会議の公開・非公開に関する基本的な考えとしては、テーマによって公開できると判断されるものについては公開し、有識者等委員の方々に自由な議論をしていただくなどの観点から、公開しないほうが適当と判断されるものについては、非公開となる可能性もあるものと考えている。

2次期沖縄振興計画について
(1)次期沖縄振興計画へ向けた現行計画の総点検について
ア総点検における政策骨子概要及びその理論的整理について(経過説明含む)
【企画部長 ア・オ一括答弁】
 沖縄振興予算の一括計上方式や一国二制度的な内容となっている沖縄振興税制等は、沖縄21世紀ビジョン基本計画に掲げる各種施策を総合的かつ計画的に推進するため必要な制度であると考えている。
 県では、沖縄21世紀ビジョン基本計画に基づき実施してきた各種施策や沖縄振興特別措置法等に規定する各種制度について、成果や課題等を検証するため総点検作業を行っているところであり、沖縄県振興審議会における審議を経て、今年度中に総点検報告書として取りまとめることとしており、総点検の結果や新沖縄発展戦略を踏まえ、新たな沖縄振興のあり方については、次年度に新たな振興計画の骨子案を取りまとめ、沖縄県振興審議会の審議とあわせて、市町村や経済団体等から広く御意見を伺いながら検討していきたい。

イ次期沖振計に盛り込む、特に重要な政策課題の抽出について(現行政策の深堀り含む)
【企画部長 答弁】
 これまでの沖縄振興諸施策の推進により、本県の社会経済は好調を持続しておりますが、県民所得の向上等はいまだ十分ではなく、自立型経済の構築は、なお道半ばにある。また、深刻な子供の貧困の問題や離島の条件不利性の克服、米軍基地問題の解決、基地返還跡地の利用など、沖縄の特殊事情から派生する固有課題の解決も図る必要がある。県では、沖縄21世紀ビジョン基本計画に基づく各種施策等について、成果や課題等を検証するため総点検作業を行っているところであり、新たな沖縄振興のあり方については、総点検の結果や新沖縄発展戦略を踏まえ検討を進めていきたい。

ウ次期沖振計において国境離島地域の国土保全への重要性に鑑み、中核離島(石垣島・宮古島)及び周辺離島における政策提起の重要性について
【企画部長 答弁】
 本県の離島は、我が国の領空・領海、排他的経済水域の保全に貢献するなど、国益上重要な役割を担っている。離島においては、その遠隔性、狭小性、散在性に起因する、教育環境や就労の場の不足による若年者を中心とした慢性的な人口の流出、住民の高齢化、産業振興のおくれなどの共通の課題に加え、宮古島や石垣島においては、人手不足や受け入れ環境整備の遅れなど、新たな課題が出てきているものと認識している。
 県としては、離島住民が住みなれた島で安心して暮らし続けられる環境づくりに向けて、次期沖縄振興計画においても、離島地域の振興に引き続き重点的に取り組んでいきたいと考えている。

エ沖縄の自立経済構築への目標値とすべく、県内総生産及び1人当たりの県民所得、県財政の自主財源比率、人口規模、県内産業構造等の推計ビジョン策定の重要性について
【企画部長 答弁】
 沖縄21世紀ビジョン基本計画では、計画達成後の社会経済展望値として人口、県内総生産、1人当たりの県民所得などの将来推計が示されている。現在、県では、これらの主要指標の動向や課題、今後の対応方向等について総点検を行っているところであり、次年度には、総点検等の結果を踏まえ、新たな振興計画の社会経済フレームを検討するため、人口規模、経済及び産業に関する将来推計を進めていきたいと考えている。

オ現行振興計画の惰性論、振興予算一括計上不要論及び知事の提起である中国政府の提唱する広域経済圏構想一帯一路の沖縄の活用、自治州的な一国二制度思想を次期沖縄振興計画へ重要なエッセンスとして盛り込む政策議論が総点検においてされているのかについて
【企画部長 ア・オ一括答弁】

【商工労働部長 答弁】
 先ほど企画部長が答弁したとおり、県では21世紀ビジョン基本計画に基づき、実施してきた各種施策等について成果や課題等を検証するため、総点検作業を実施している。一方、一帯一路構想の沖縄の活用については、21世紀ビジョン基本計画に盛り込まれていないことから、総点検作業の対象となっていない。

3八重山地域の医療体制についてお伺いします
(1)八重山病院を中核医療機関とする離島医療のあり方について
ア離島医療は県における政策医療であるとの基本的認識について
【保健医療部長 答弁】
 採算性の面から民間医療機関では対応が困難な離島などの地域において、医療機関を設置し、医療提供体制を確保することは、地方公共団体の使命であると考えている。

イ1次医療と2次医療、3次医療の地域医療機関及び当該自治体との連携体制強化について
【保健医療部長 答弁】
 八重山地域においては、急性期機能を担う県立八重山病院を中心として、県、竹富町及び与那国町が設置する僻地診療所や民間医療機関が連携を図り、1次及び2次医療を確保しております。地域で提供することが困難な、専門性の高い、高度、特殊な3次医療については本島の病院へ搬送するなど、それぞれの機能に応じた連携が図られている。今後とも、八重山地域の医療提供体制を確保するため、地域の医療機関及び市町村との連携強化に取り組んでいきたい。
ウ八重山圏域、多良間島からの緊急性患者移送及び発災時の対応としての大型ヘリポートを八重山病院に近接して整備する重要性について
【知事公室長答弁】
 緊急患者搬送について、石垣市が整備・運用する現ヘリポートは、県立八重山病院に近接した場所に設置されており、患者を迅速に病院へ搬送する上で、十分なスペースを有した施設であると認識している。一方、大規模災害の発生時に活動するヘリに対応可能なヘリポートについては、内閣府が定めたガイドラインの中で、広域防災拠点に備えるべき機能として位置づけられいる。今後は、広域防災拠点として必要となる一定のスペース、海抜、交通アクセス等を考慮した既存の公共施設を候補としつつ、石垣市との協議を通じて拠点を選定し、適切な施設の確保に努めていく。

エ八重山病院の現場医療実態において妥当な定員であるかの認識及び医師の負担軽減のためのコメディカル職種人員の充実配置の重要性について
【病院事業局長 答弁】
 病院事業局では、職員定数について、県立病院の役割、地域の医療提供体制、経営への影響、国の医療制度改革の動向等を総合的に勘案し、関係機関と調整しながら配置している。八重山病院のコメディカル職については、平成24年度からこれまでにリハビリテーション機能の強化等の目的で、理学療法士、作業療法士等計22名を増員するなど、必要な人材を配置してきたところであり、引き続き適切な定数の配置に努めてまいります。

4八重山圏域における県発注公共工事について
(1)地元企業、設備業者への最優先指名について
(2)公共事業の分離・分割発注への配慮について
【土木建築部長 (1)(2)一括答弁】
 県発注工事においては、県内企業への優先発注及び県産品の優先使用基本方針に基づき、工事の規模や手持ち工事の状況等を勘案した上で、可能な限り地元企業に配慮して指名等を行っている。また、可能な限り分離・分割発注を行うとともに、地元企業が施工困難な工事は、共同企業体方式により受注機会の確保に努めている。引き続き、八重山圏域を含めて地元企業に配慮した発注を行っていきたい。

(3)建設物価、労務単価等及び離島地域特有の必要経費への配慮について
【土木建築部長答弁】
 県は、予定価格の設定に当たっては、最新の資材単価及び労務単価を適用しており、市場単価と実勢価格に乖離が見られる場合は、適宜見積もり等を徴収することとしている。また、離島の工事において、遠隔地からの労働者で対応せざるを得ない場合に、旅費や宿泊費等の追加分の経費について、実績に応じて設計変更できる取り組みを実施している。引き続き、離島地域の価格動向を注視し、適正な予定価格の設定に努めていく。

5我が党の代表質問との関連については取り下げる。

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